2004-08-15 日
痩せるのだ!
この不景気の日本で10年間、常に右肩上がりに増え続けている数字がある。なぁんだ?! そう、ご想像の通り、このワタクシの体重よ。なんと、今年の春の健康診断では体重が伸びて身長が減るという珍現象まで起こしてみせた。だから久しぶりに会った人には、開口一番「太ったね」と言われる。「太った?」のクエスチョンマーク付きではなく「太ったね!!」の、オッタマゲーションマーク、それも2個付きである。前々から、見まごう事なき“おでぶ”と思っていたオヤジにまで「君ぃ、少し太ったね!!」と会社の廊下で声をかけられた時なんぞは、さすがに(アンタには言われたくないよ)と思った。しかし、気が弱い姫はへへへと愛想笑いをし、挙句に「少しじゃないんですよぉ」などと、ついつい、お追従まで言っちゃうんだなぁ。
太って困ること。当然それまで着ていた服が着られなくなる。「私、脱いだら凄いんです」というCMがあったが、こちらは凄いじゃなくムゴイって感じ。特に下腹がスイカでも入っているのではないかと思うくらいにせり出してきた。ブラウスをスカートの中になんぞ、とても入れられやしない。体形を保つためにはウエストがゴムのズボンは履いちゃいけない、なんてテレビのノウハウ番組でよくされる話を、他人事として鼻で笑っていた我が身なのに、Gパンのジッパーが上がらない。なるほど、こういう現象に対応してくれるのがゴムウエストのズボンなのね。そして、上にはお腹の隠れるシャツブラウスやら、ゆったりTシャツ。哀しいかな、おばさま方の装いに納得印の姫であった。
入らなくなるのは服だけではない、指も太くなるのだ。以前から持っている指輪が入らない。そんな馬鹿なと頑張ってしまうと大変。指がうっ血し紅くなり、紫色になり、黒味まで帯びてくる。そうなったら、引っ張ろうが回そうが駄目。石鹸ですべりをよくしようとしても言うことを聞いてはくれない。もう少しで救急車騒動という一歩手前で、やっと指輪は抜けたものの、なんという空しさ。もう、この指には可愛いルビーのリングなんぞは似合わないのね。
姫に指輪を贈りたいと思っている貴方、ダイヤは最低2キャラット以上になさってね。やり手ババァがしていいるような、ゴッツイのになさってね。
健康診断で、脅威的な伸びを示したものがもう一つあった。血圧。なんと上が189、下でも119。もちろん診療所から異常ありで呼び出しがかかった。「ご家族も高いの?」「はい、皆血圧降下剤を服用しています」。「そうですね、ちょっとこれは薬で下げないとね」。やはりDNAには逆らえません。ところで、と先生に聞いてみた。「血液をサラサラにする薬を併用する必要はないですか?」「それは、必要ないですね。それよりは、まず痩せましょう」。とうとう医師にまで貰ってしまった「おまえはデブだ!!」のお墨付き。そういえば、近所のお姉さんに言われたことがありましたっけ「惠子ちゃん、今は細いけど、お母ちゃんの子なんだからね、気をつけないと太るわよ」。やはり、太るのもDNA!!
さて、どうやったら痩せるのか。「食べるな、動け」が原則だろう。だが、姫の場合これが、なかなか至難の技なのだ。なぜなら検診後、今度は椎間板ヘルニアが見つかった。背中が痛い日が続いてはいたのだが、こんなご大層な病気、自分とは無縁と思っていたのに。結果「運動は当分駄目。安静にしてなさい」とのお達し。
思い当たる節がないではない。医師のお墨付きの前にデブの自覚症状はあった。そこで、テレビなんぞで「これであなたもスレンダー美人」なんて言葉とともに紹介される運動には、それなりにトライしていた。曰く「太ももを左右に大きく開き、刺激しましょう」「体をねじって歩きましょう」「上体を反らして足を後ろに反動をつけて上げましょう」。医師に話すと、これ全部今の状態には悪いことばかり。特に体をひねるなんて最悪の所作だったようだ。何事も長続きしない姫が、やっとこ続けていた運動だったのに。それが逆効果だったとは何たる皮肉。
さて食事の方だが、これがもっと難しい。何があっても「内臓は丈夫だネェ」と言われている姫のことゆえ、目が覚めるとお腹が空いている。朝食抜きなど考えたこともない。朝から焼肉だってオッケーなんだから。マリー・アントワネットばりにパンではなくケーキでも大丈夫。その上、姫には思わぬ伏兵が居たのだった。姫は姫だからして臣下がおる。仮にHとしておこうか、このH、姫のめんどうをアレこれみてくれるのは、とてもありがたいのだが、こと食事に関しては一人暮らしの姫を案じ、異常なくらいに情熱を燃やす。
居酒屋を付き合い、軽く一杯のつもりでも、そういうことは許されない。「一人暮らしでは野菜が不足します。さぁ野菜を食べましょう」「青魚は体に良いです。さぁ鯖を食べましょう」「チキンはお肌に良いと聞きます。さぁ焼き鳥といきましょう」「お腹にたまるものも少しは食べなきゃね。焼きおにぎりはどうですか」。兎に角、テーブルが一杯になってしまっても、まだまだ食べ物を頼み続ける。しかも、自分は食べずに全て姫に食べさせる為に。そりゃぁ、いっくらなんでもそんなには食べられない。すると、最初は「○○は体にいいから召し上がれ」が、「体にいいから食べなさい」になり、挙句には「イイから黙って食え!!」に変わる。「ちゃんと食べないで、帰ってから遅い時間に食べたら毒ですから、今ここで確り食べなさい」と、臣下のくせに至上命令。そして姫は、根が食いしん坊だし、素直だもんだから、ついついお皿を空にしてしまうんだなぁ。そして「はい、良く食べました偉い偉い」。スイカが益々大きくなる。その上、駅に向かう途中にケーキ屋なんてあった日にゃぁ「デザート、持って帰りなさい」って。さっき帰ったら食べるなと言ったじゃない。朝、食べればイイヤと持ち帰って、そっと開けてみるとアラ大変。「本日中にお召し上がり下さい」のゴム印が恭しく押されているじゃない。これは本日中に召し上がるっきゃない。そう、繰り返すが素直なのよね姫さま。こんな毎日を送っていたらスイカがビア樽になる日も、そう遠くはなさそうだ。
先日、アルバムの整理をした。そこにはシャープなアゴの線を持った、もろアイドルが微笑んでいる。そうよねぇ、あの頃は隣の部署のオヤジに「日本サンケイって知ってるかい? 松坂惠子、竹下景子そして姫宮惠子だよ」なんて言われたもんだったわねぇ。ああ、あの面影よ今何処? 若かりし頃の自分の写真を見て思う、やはり頑張って痩せなくてはいけないと。そしてもう一つ、なんでこんなに可愛く華奢だった時に、芸能界にデビューしておかなかったのかと。(何か?!)