2007-04-08 日
髪
あ〜あ、又こんなに暗い色になっちゃったぁ。
休日の昼下がり、自分で髪を染めた。白髪染め? イエイエ、私の場合はあくまでも“おしゃれ染め”よ。
正直なところ、ちょっとは白髪もあるけれど友達に「嫌味だ」と言われる私の髪は、真っ黒くろすけなのだ。多い・固い・太いという乙女としては三重苦の上に、昔なら褒められたかも知れない烏の濡れ羽色である。それでも“市松人形”のようにストレートなら、いかにも日本女性らしく美しいと思うが、私の髪は、やたらめったら広がって、ちょっとでも伸ばそうものなら肩幅からはみ出してしまう。実家で泊まった翌朝は、姪達から「チャーちゃん(私のこと)、髪が爆発してるよ!」と、よく言われる。
身長が低い私は、この多くて、太くて、真っ黒な髪のせいで体のバランスが非常に悪い。ただでさえ“でかい顔”して生きている上に、大量の黒い髪が被さるわけだから、正面から歩いて来る人からしたら、その表面積の比重で水木しげる先生描くところの“倉ぼっこ”か“砂かけ婆”くらいのインパクトがありそうだ。できることなら、子供の“倉ぼっこ”の方でご勘弁願いたいところだが。
せめて、髪の色を明るくすることで頭の重い印象を消し去ろうと、昭和ではヴィレッジ・シンガースが、そして平成になって島谷ひとみが歌った♪亜麻色の髪の乙女、目指して髪のカラーリングに挑戦した。
最初は、やはりプロにお願いしようと美容院でカット&カラーリングを頼んだ。ところが、かなり短めにカットしてから染めたはずなのに「カラー液が、お客様の場合、普通の量では足りませんでしたので1.5倍のお値段を頂戴します」だって。やる前に言ってよね。それにしても、ロングの友達でも「そんなこと言われたこと無い」と、驚いているくらいなのに、どんだけ私の髪は多いと言うのか。そうそう、言われたことがありましたっけ「お客様の場合、普通の人の3倍の量がありますね」って美容院で。
なるほど、肩がこるはずだ?!
髪を染めてもらっていた美容院が、ある日忽然と夜逃げをして消えてしまった。それからは、その美容院の向いにある、その名も“セビリヤ”という理髪店に行って髪をカットしてもらっているのだが、理髪店故お客は私以外は皆オヤジである。そんなトコで時間のかかるカラーリングはしたくない。自力更生ということになったのだが、これがなかなか思うように染まってくれない。最初はおとなし目の栗色を選んでみた。箱に印刷された色の見本の通り、ほんのり栗色になってくれるものと信じて。ところが、染め上がったらものの見事に真っ黒!! ガックリ。
次には、ちょっと挑戦してかなり明るい色を選んでみた。しかし、やはり栗色にはならない。又もや殆ど真っ黒!!
ええい、ままよと3度目の挑戦では、店にあった商品で1番明るい色にしてみた。(金髪になってしまったらどうしよう。明日、会社は急病で欠勤かな)と、恐る恐る染めてみたのだが、結果は全く恐れることはなく、よぉく見れば多少色がついたかなといった程度だった。翌日はしっかり出社し、友達に経緯を話すと「照明に当ると明るくなっているよ」と慰めてくれた。確かに、標準の1.5倍の値段を取られた美容院でも「染まりにくい髪ですね」と言われた記憶はあるが、なんだってこんなに自己主張が激しい髪になってしまったのだろうか。
いつも私の理想のような“亜麻色の髪”に自分で染めているリカコに尋ねると、前日の洗髪ではリンスやコンディショナーを使わないようにと言われた。ついつい、シャンプーとリンスは対になっていてカラーリングを思い立った前の晩も計算せずに使っていたかもしれない。時間も、記入されているのより多少というより、かなり長めにせよとのこと。そして自分の使っているメーカーと色を教えてくれた。
ここまで確認しておけば大丈夫。これで私も明日から“亜麻色の髪の乙女”よと、勇んでカラーリングに挑戦したのだが、あっけなく何度目かのKOをされてしまった。結果は、やはり照明が当れば明るく見える程度。どれだけ頑張っても、決して他人の色には染まらないというのは「貴方の色に染まります」という白無垢を着ていない、私の髪ゆえの意思の現れなのだろうか。涙。
髪を染めて撃沈した翌日にリカコ、絵美ちゃんと私の3人で食事をしたのだが、絵美ちゃんも「同じものを使って、どうしてそれだけの差が出るの?」とあきれ果てていた。
つい先日は、セビリヤの理髪店で「お客さんの髪は、全然細くも少なくもなりませんねぇ」と感心されてしまった。こちらでも変わらない強さだ。
そう言えばまだ10代の頃、同級生の男子と大手門から入って皇居を散歩したことがある。その時、同級生が私の髪にさりげなく手を触れた。背の低い私と長身の彼。私の頭の中では、みつはしちかこさんの漫画『ちっちとサリー』の図が浮かんでいた。10代の淡い恋? すっごくイイ感じと思っていたのに、次の瞬間に言われた言葉は「針金みたいな毛だね」というものだった。ショック。いっぺんにムードが覚めてしまった。私もカチンときたけど、彼の方も乙女の柔らかな髪に触れたつもりが針金では、さぞかしガッカリしたことだろう。トラウマになってなければ良いけれど。
猫っ毛のクセ毛というウエダには「羨ましいわ。私なんて雨が降ると1番最初に分かるわよ」と、髪の多さや太さを羨ましがられるけど、無いものねだりだと言われるけれど、胸の無い分(?)せめて柔らかな亜麻色の髪になりたいという乙女心なんだけどなぁ。