2007-02-25 日
かぜ
「お利口さんは風邪を引かない」これが私の持論だった。お利口さんは平生からちゃんと自己管理をして風邪の菌などには負けないのだ、と。実はこれ、なぜか殆ど風邪を引かない我が身に「馬鹿は風邪を引かない」と言われたくないがための煙幕だったのだ。ところが、珍しくそんな私が風邪を引いてしまった。
朝、起きたら頭が痛い。喉も痛い。節々までもが痛みだし、少々吐き気すらする。休日だから、まだ横になっていてもいいというのに、気持ちが悪くて横になってもいられない。仕方なく起き上がってはみたものの、起きれば起きたで起きてられない。
♪どうすりゃいいのさ思案橋〜♪
取敢えずは(私は病人ではない!)と自分自身に言い聞かせてパジャマを脱ぎ捨てる。とは言え、キッチリした格好は辛いので、トレーナーの上下。縦も横も余裕のあるスウェットでは、パジャマとあまり変わり映えしないなぁ。
食卓前の椅子に座ろうとするが、高さのある椅子にきちんと座るのは骨がおれる。通販で買った、リクライニング式の大きめな座椅子に転がり込む。ああ、楽チン。
さてと、これからどうする?
取敢えずは、薬でしょう。薬を飲むには腹ごしらえでしょう。
薬は♪クシャミ3回ルル3錠♪を常備しているけれど、まともな食料があっただろうか。私は、休日にショッピング・カートを引きずって1週間分の食料をまとめ買いしている。ということは今現在、冷蔵庫はほぼ底をついている計算だ。常備している手製のカスピ海ヨーグルトと、残りわずかな牛乳と、リカコから貰って開けずにおいた東京ディズニー・シーのクッキーを齧り、おもむろにルル3錠を流し込む。効いてよねと祈る気持ちで。
なんとなく熱っぽさもあるので、体温も測ってみる。「フムフム、37度5分ね」。熱の数値は分かったけど、普段熱を測らない私には、これが高いのか低いのかすらわからない。兎に角、今の私の体温は37度5分なのである。ここは安静にするのが無難だろう。
座椅子にひっくり返ってのんびりとテレビを見る。さすがにパソコンを開いてゲームをやろうという気にはならない。あんなに毎晩夢中でやっているゲームをやらずにいられるなんて、案外重症なのかもしれないなぁ。吐く息も乾いた唇から熱を帯びて重〜くなっている感じだし、視界も心なしか霞んでいる。もしかして、もしかして、私はこのままコテッて天に召されてしまうのかも…。どこか具合が悪くなると、母がよく言ったものだ「まったくお前は、ノミがけつまずいたくらいでも大騒ぎする」って。
グデグデしていたら、喉の痛みが無くなった。頭の痛みも去ったようだ。おお、ルル3錠の効果は絶大なり。そろりと座椅子から起き上がり、パソコンでCDを見ることにする。『スタンド・アップ』という、アメリカで実際にあったセクハラ問題を扱った社会派ものと『Mr.&Mrs.スミス』という、夫婦が別々の組織に属する殺し屋という荒唐無稽の娯楽作品の2本を、社でトイメンに座るP氏から貰っていたのだった。何度も「ご覧になりましたか?」と聞かれているので「今度の連休に見せていただきます」と言ってしまった手前、そろそろ見てご報告せねば。勢い込んで、立て続けに5時間近いCD観賞をしたら、抜けたと思われた風邪の菌が、ドッと舞い戻って来た。アッタマ痛ぁ〜い。目も霞むぅ。駄目だこりゃ。風邪の時は、たとえゲームでなくともパソコンの画面が体に悪いということを身をもって、身に染みて知った。
今日は、もう寝た方が良さそうだ。ルルを飲んで布団を被って寝てしまおう。365日、どんなに疲れていても、呑んだくれていても入浴は欠かしたことが無いのだが、今日はパス。子供の頃、お風呂に入らずに布団に潜り込もうとすると、母から「お風呂に入らない子は廊下で寝なさい!!」と怒られた。それが根っこにあるせいか、かなり具合が悪くても湯船に浸かって来たけれど、50キロ以上離れた実家に居る母には、いくら遠視でも見えやしまい。女優の命の顔だけ洗って、今夜はベッドに潜り込むことを、この私が許可します。“認”
ささ、薬を飲むために何か口に入れましょうと、デジャビュのように冷蔵庫を漁るが、空の冷蔵庫が急に食べ物だらけになるはずはない。仕方がないので、冷凍室に積んであるベーグルを暖めることにしよう。表面についた氷を落とし、グルッとラップでくるんで、電子レンジに放り込む。目安はどのくらいかなぁ…2分弱でOKでしょうと、O型のおおらかさ(いい加減とも言う)でスイッチをON。コーヒー用にお湯を沸かしていると、ナ・ナ・ナンナンダ?! バンだかボンだかという音とともに、レンジの中が煙で見えなくなってしまった。そして、思いっきり焦げ臭い空気がリビングにまで漂流しだした。
おそるおそる電子レンジのドアを開くと、浦島太郎が玉手箱を開けた時がかくやと思われるような、白い煙がモクモクと涌いて出る、涌いて出る。あまりの凄まじさに電子レンジ自体が爆発したのかと、慌ててリビングに避難した。
卵を電子レンジで加熱すると爆発するとは聞いていたが、その成分が入ったベーグルと電子レンジは相性悪いとは知らなかったなぁ。それにしても、電子レンジのドアを開けた途端に、リビングに逃げた時の私のその素早さ、その瞬間に風邪が吹き飛んでしまったようだ。
チャップリンは、人生には「夢と勇気と少しのお金」があればいいと言ったらしいけど、私が風邪を治すには「ルルと座椅子と少しの刺激」があればOKということか。