今年も“寒い”夏が来た。

電車に乗れば冷房ガンガン、会社に着けばこちらもギンギン。会議なんてあった日にゃぁ広い会議室にひえびえ〜と寒風が吹き荒び、退屈な会議では雪山のごとく「寝たら死ぬぞ!!」という寒さに、眠ることさえできゃしない。

軽装

けれども今年の夏は、ちょっと変化がありそうだ。

ある朝、出社すると受付から始まって社内のあちらこちらの壁に『軽装で失礼します』と、白地に水色という涼しげな配色のポスターが貼られていた。

昨夏より環境省の音頭とりで始まったクールビズを、どうやら弊社も取り入れることにしたらしい。

ところでクール・ビズのビズってなぁに? クールはいいとして“ビズ”は? 涼しげなスワロフスキーのビーズからとった言葉? 今、だんとつの人気を誇るミュージシャンB’ z が、ステージから地球温暖化の杞憂を訴えて、聴衆が賛同したとか?

ものを知らない代表選手の私は、ネットで検索。なになに「クール・ビジネス」の略?! 知ってしまえば他愛も無いことだったなぁ。でも、本当にみんな知ってた?

環境省の推し進めるクールビズは、温室効果ガス削減のために、夏のエアコンの温度を28℃に設定するという。「28℃なんて暑くてたまらない」という声が多いが、私には暖かく快適な温度だろうな。

頭に超が3ツも4ツもつくくらい、極端な寒がりの私は、真夏でもアイスクリーム、シャーベットの類は自分から食べることはない。おすそ分けや、いただいた手前なんてことで食べたとしても、スプーン1杯を口にしただけで体全体が冷えわたり、途中でギブアップ。カキ氷をカキ込んで、カッキーンと来るこめかみの痛みというものを、かきこまないから経験したことも無い。

1年のうちに暑いと感じるのは3日程度と言われる猫と同じで、暑いという言葉を私の口は殆ど発しない。職場では「いつも涼しい顔をして座っているね」と、部長から汗を拭きながら毎日のように言われる。友達には「女優は顔に汗をかかないのよ」って言っているが、実態は汗のかきにくい体質のようだ。要するに新陳代謝が悪いということだ。かなりノンビリと時間をかけて入浴しても汗はなかなか出てこないし、お風呂からあがったらどころか、入浴中でも体温があまり上がらない。テレビCMで「夏でも足が冷えるの知らなかったのかな?」って高原のコテージのような場所で原田美枝子が夫役の人に言っているそのまんまに、夏場でも脂肪タップリの腿から足先にかけて冷たくなっている。暑がりの友達が夏休みの旅先で、私の立派な太腿を「冷たくて気持ちイイ」と水枕代わりにしていたこともあるほどだ。雪山で遭難した人を若い女性の柔肌で温める、なんていう美しい物語を読んだことがあるが、私は冷えている人をもっと冷やして止めをさしかねない。ああ、なんの因果でしょう、心はこんなにも暖かいのに。

さて、弊社のクール・ビズだが、ポスターと社内メールで浸透させたところで開始の日付が発表された。制服の無い弊社では、女性は今までと何ら変わることは無いが、男性の反応は様々だ。真夏でもダブルのオーダースーツに身を包み、これ又オーダーシャツで決め、自他共に認めるお洒落なP氏は「30万円くらい支度金をもらわなきゃあわないよ。ノーネクタイにしたら、それに合った背広も作らなきゃならない」とオカンムリ。それに引き換え、入社2年目の池田君は「助かったぁ、去年の夏は暑くてたまんなかったっすよぉ。どの程度の服装が許されるんでしょうかね。勝俣州和みたいな短パンは無理かなぁ」と、学生時代に戻ったように喜色満面だ。それを、我関せずと聞いていた部長が一言「ネクタイしなきゃイイんだろ?!」。

さて、いよいよ弊社での「COOL BIZ(クール ビズ)」初日。男性陣はどんなイデタチで現れるやら。

P氏は早めに出社し、シャツをクールビズ用の半袖ボタンダウンにお着替え。「折衝の結果、奥さんからスーツの新調は許可が下りませんでしたから」って。退社直前には着替え直してネクタイを結び、ダブルの背広をまとって帰途につくのだった。「よいじゃないよぉ」。

池田君は「最初は様子を見ます」と、薄いブルーのシャツにノーネクタイで登場。諸先輩の中には、ワイシャツにネクタイ姿がまだまだ見受けられる。「やっぱり、短パンは無理そうですね」と、期待外れにガッカリの様子だ。

部長は、初志貫徹(?)席に着くと、エイヤッとばかりにネクタイをはずし、クールビズ一丁上がり。これなら、めんどうなことは何も無し。ブレない姿勢はさすがである。

こんな男性陣に対しての女性達の反応はというと「今まで、お洒落だと思っていた人が意外とセンスが無かったりしてガッカリ」とか「しまりが無く見える」「貧相に見える」「日曜のくたびれたお父さんって感じ」と、かなり手厳しい。「今まで、キッチリしてるとか、スッキリしているとか思っていた人がネクタイを外すと、だらしなく見えちゃうのは何故かしら」の問いに、蒲田さんがピシャリと一言。「ネクタイに誤魔化されていたということよね」。納得。

とは言え、我が社のクール・ビズは始まったばかり。これから「○○部の○○さんて夏場になるとステキ!」なんて言われる人が現れることを期待しよう。周知徹底させよという思いの表れか、社内のいたる所にポスターを縮刷したステッカーが貼ってある。エレベーターの天井近くにまである「クールビズ」シール。あんな高い所に貼っちゃって、秋風が吹く頃には剥がすのがさぞ大変なことだろう。千社札じゃないんだから。

それにつけても実際に設定された社内温度28℃は暑いわぁ。この私でさえも夏が来たのを感じます。

あづい〜〜〜(x_x)。